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京浜運河に絶景の秘境発見

昭和シェル製油所・東亜石油製油所 京浜工業地帯が広がる海岸線に沿って走る京浜運河。その海上に知られざる“絶景の秘境”があるという。しかも、その絶景は夜の闇の中にしか現れないらしい。いったい、どんな光景なのか…。謎を解くべく、「工場夜景ジャングルクルーズ」なるツアーに参加し、一部始終を目撃した。

■工場萌え
 「京浜運河で、海上でしか拝めないすごい夜景が見えるらしい」
 そんな話を耳にしたのは先月下旬。その夜景をめぐるクルーズツアーも始まるという。早速、ツアー船が出港するという横浜港に急行した。

 JRと横浜市営地下鉄が乗り入れる「桜木町駅」から徒歩約15分。名高い観光名所の赤レンガ倉庫裏手、ピア赤レンガ桟橋がツアーの出発地点だ。

JR鶴見線・海芝浦駅 「工場の夜景をエンターテインメントとして楽しむ。それが、『工場夜景ジャングルクルーズ』です」

 出発地で記者を待っていたのは、今回のクルーズの案内人でもある「夜景を論じて16年」の夜景評論家、丸々もとお氏(42)だ。
 なぜ「工場」なのか?

 「きっかけは、2002年ごろからインターネット上を中心に起こった廃虚ブームです。これにより、本来は無価値とされ見捨てられてきた景色にスポットが当たるようになりました。この流れを受けて06年ごろから静かなブームになっていたのが『工場』なんです」

JFEスチール東日本製鉄所 これも人気の火付け役はインターネットのサイト。昨年には写真集「工場萌え」が出版され大ヒット。現在は、ダムや電線といった“棄景”にまで人気は波及している。

 工場の魅力について丸々氏は「工場をめぐっていると、時折漏れてくる操作音が動物の鳴き声に聞こえたり、無機質なパイプや鉄骨が森に見えてくる。まるでジャングルクルーズをしているような気分が味わえるんです」と話す。

 なるほど。期待と不安を胸に、さっそく船に乗り込んだ。

■いざ、クルーズ
 船は「定員約20人」という小型クルーザー。日が沈み、あたりがネオンの色に染まり出すのを見計らったかのように出航した。

 遠ざかる街の明かりを背に、レインボーブリッジを通過。京浜運河に入ると、そこには「工場夜景」の異空間が待っていた。以下、丸々氏による「おすすめポイント」を紹介する。

 (1)東芝京浜事業所
東芝京浜事業所 京浜運河で企業のロゴサインが輝く施設はここだけ。海面に映りこむ「TOSHIBA」の赤い光が印象的。


 (2)JR鶴見線・海芝浦駅
 全国の「鉄ちゃん」にはおなじみ。駅自体が東芝の私有地となっている珍しい駅。単線のホームが海に面し、駅出口は工場と直結。「東芝社員以外は出られない駅」としても有名。

 (3)JFEスチール東日本製鉄所
 川崎・横浜両市にまたがる約550万平方メートルの巨大人工島「扇島」。島内をこうこうと照らす橙色はナトリウム灯の光。大規模工場照明と銑鉄のにおいが独特の存在感を放つ。

 (4)昭和シェル製油所・東亜石油製油所
 銀色に輝く2本の大型プラントが美しい。明るく鮮やかな白色はメタルランプの光。ナトリウム灯が主流の欧米の工場では見られない光景だ。

 (5)東電LNG基地―水江町
東電LNG基地―水江町 メタルランプの光に映される大小のタンク群の艶かさと、かすかな光に浮かび上がる倉庫やクレーンのシルエットの寂しさが絶妙のコントラストを作る。

 (6)浮島町
 クルーズのハイライト。船の真正面には、東燃化学の煙突から吹き上げる炎。壮観だ。この炎は東京都心部からも見えるほどで、火事と見間違えるほどに明るく周囲を照らす。石油精製を行う石油化学メーカーのなんともいえない甘い臭気がメタリックな森のようなプラント群と相まって非日常感を高める。

 (7)東亜石油製油所
 鉄骨とパイプに覆われたガウディの建築のようなプラントが、なんともゴージャス。下層部の白色と上層部のオレンジのコントラストがいい。

 (8)新日本石油化学―三井埠頭
 円形タンクと工場の煙突群が立ち並ぶ光景は、さながら闇夜のジャングル。三井埠頭に立ち、コンテナなど貨物の積み卸しを行う2つの大きなガントリークレーンは、マニアの間ではキリンと呼ばれている。長い首を4本脚で支える様はキリンそのものだ。

 (9)昭和電工(大川町―扇町)
 90分にわたる旅もいよいよゴール。トリを飾るのは白いメタルランプの光でライトアップされた昭和電工東京ガスの大型プラント。吹き上げる煙と、骨組みだけの城のような外観が輝く。
    
浮島町 「キーン」「イイイーン」「ゴォォォン」―。ふだんは、やかましいとしか感じない工場の稼働音だが、海上で聞くと、たしかにジャングルを探検しているかのような神秘的な気持ちになるから不思議だ。1時間30分の「ジャングルツアー」もいよいよゴール。京浜運河をぐるりと回って出発点の埠頭に無事帰着した。
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■工場夜景ジャングルクルーズ
 船はピア赤レンガ桟橋(赤レンガ倉庫裏手)を出港。横浜市鶴見区の大黒ふ頭を経て、京浜運河へと入る。末広町、扇島の工場群を巡り、羽田空港手前の浮島に着いたところでUターンし、出発地点に戻る。

 料金はスペシャルカクテル込みで4500円。土日のみ1日1便で7月は午後7時、8月は午後6時半出航予定だが、日によって変動も。「予約がいっぱいの時には2便就航させることもある」(丸々さん)という。

 申し込みは乗船前日の午後4時までに電話(電話045・290・8317)かホームページ(http://www.reservedcruise.com)で。

投稿日: 2008年07月21日

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