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宋文洲の会社員哲学(19)世論を信じるな
すばらしい投資成績を挙げているファンドマネジャーは、あまりニューヨークに居ません。彼らのほとんどが、どこか地方の町に拠点を置いているそうです。ニューヨークに居ると世論の影響をもろに受け、真実を見誤り未来を正しく読めなくなるからです。
世論というものは常に妥当ではないと考えたほうが無難です。利益団体によって故意に操作される場合もあれば、群集心理によって過剰に誇張されている場合もあります。いずれにしても妥当性を欠くものです。
言論の自由が保障されている社会では、世論が正しい保証はどこにもありません。なぜならば、保証されているのは「自由」であり、「正しさ」ではないからです。言論の自由とは自分の利益になる言論の自由も、他人の意識を動かす言論の自由も含まれています。
ネットの著名人と言われた知人から聞きましたが、彼は以前よく報酬をもらって顧客が指定した議論を展開し、顧客が希望する結論を誘導する書き込みをしていました。ネットでさえそうですから、出版物から放送局まで個人や団体の利益や価値観に沿って世論を作ろうとする試みは毎日のように展開されています。
しかし、残念ながら99%の人々は世論を操作する立場にいないのです。だから形成された世論をそのまま信じると決して自分のためになりません。たとえ世論が事実に基づいたものだとしても、世論が誘導した結論は間違っている場合が多い。瓶の中の美味しいワインが半分になりました。この事実をみて世論を「半分しか残っていない」と誘導した場合と、「まだ半分も残っている」と誘導した場合、結論は完全に逆なのです。
(ソフトブレーン創業者)
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