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「今週のデジタルうんちく」ウイルス(上)「愉快」から「凶悪」へ目的変化
人が集まるところには犯罪者も寄ってくる。それは現実の世界もネットの世界も同じだ。ただし、ネット上の犯罪は現実の犯罪と違って見えにくい。その理由は、ネット犯罪の多くがコンピューターウイルスを介して実行されるためだ。そこで、今回から3回にわたって、ネットユーザーの誰もが巻き込まれる危険性のあるコンピューターウイルスについて説明する。今回は、普通に見ているサイトから感染してしまうウイルスについて。
初期のウイルスは、パソコンの画面に派手な画像や文字が表示される“分かりやすい”ものが主流だった。当時のウイルスは「愉快犯」的な目的に使われていた。
それに対し、最近のウイルスは以前のような派手さはないが、被害はより深刻になっている。クレジットカードや銀行口座の番号などを狙った金銭略取目的の「凶悪犯」へとウイルスの目的が変わったからだ。しかも、ウイルスの感染ルートは多様化している。
今年3月上旬にはセキュリティーソフトメーカーのトレンドマイクロ、3月末にはデジタル音楽プレーヤーやスピーカーなどで知られるクリエイティブメディア、4月初旬には自動車のポータル「カービュー」の各サイトが何者かによって“改竄(かいざん)”されるという事件が起こった。
いずれもウェブサイトの一部が書き換えられ、ウイルス犯の用意した「偽ページ」へとリンクされていた。何も知らないユーザーが誤ってその偽ページにアクセスすると、自動的にウイルスがユーザーのパソコンに入り込む仕掛けになっていた。
入り込んだウイルスは普段は何もせずパソコンの奥底にひっそりしているが、ユーザーがオンラインショッピングやネット銀行への振り込みなどでクレジットカードや銀行口座などの番号を打ち込むと、その番号をウイルスを仕込んだ者に発信する。忍者やスパイのような“仕事”を行うウイルスだ。
IPA(情報処理推進機構)の発表によると、日本では今年3月ごろから「改竄攻撃」が増えているという。海外に目を向けると、イタリアでは昨年6月に1万ページ以上への「改竄攻撃」があり、今年4月の時点で世界中では数十万ページにおよぶ改竄被害が報告されている。
以前なら、ウイルスを仕込まれるサイトはカード決済が頻繁に行われるオンラインカジノなどのギャンブル系サイトが多かった。だが最近は、多くの人たちが普通にクレジット決済やネット銀行取引を行うようになったため、あらゆるサイトと人がターゲットになっていると考えられる。この危険から身を守る唯一の方法は、セキュリティーソフトによるウイルスの発見と駆除しかない。
セキュリティーソフトを自分のパソコンに入れ、ソフト提供会社が定期的に配信する「定義ファイル」を最新版に更新しておけば、万が一、改竄されたウェブサイトにアクセスしてもウイルスの発見・駆除ができる。
自分のパソコンにセキュリティーソフトを入れておくのは、現実の生活で生命保険や損害保険に入るのと同じぐらい重要なことだ。ウイルスに感染すると、金銭的な被害だけでなく、情報漏洩によって社会的な立場を失うことさえある。場合によっては、現実の犯罪よりも手痛い代償を支払うことになりかねない。
