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現状での五輪「野球復活」は難しい

■江尻良文編集委員「球界に直言!」
 13日から北京五輪の星野ジャパンの戦いがスタート。「とりあえず五輪の野球は北京が最後になるが、復活させるためにも、頑張りたい」というのが、日本代表関係者の合い言葉になっている。しかし、現状のままで本当に五輪に野球復活には必要なのだろうか。疑問に思う。

 「メジャーリーグが五輪に背を向け、マイナーリーグの選手しか出さないから、野球は五輪から消える」。日本の球界関係者からは大リーグ機構(MLB)が元凶だと批判する声があがっているが、MLBの姿勢はハッキリしている。2年前にプロ野球同士の国別対抗のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を開催、来年3月に第2回大会が行われる。

 「五輪はアマチュアの世界大会。プロ同士で戦うWBCをサッカーのワールドカップのようにしたい」という、国際的な商魂がある。お金になることならば、どこの国へでも進出、取り込もうとするMLB商法は露骨だが、わかりやすい。「なんで国際オリンピック委員会(IOC)の金儲けに協力しなければいけなんだ」という本音がある。

 「薬物禁止に取り組む姿勢が立ち後れていたMLBは、五輪にメジャーリーガーを出したくても出せない事情があったんだ。ドーピング検査でひっかかるのは目に見えているからね」とシビアな味方をする球界関係者もいるが、的はずれでないにしても、MLBのマネー最優先主義が本当のところだろう。現在のように、主催するMLBと大リーグ選手会のためだけのWBCでは問題だが、「時間をかけてサッカーのW杯のように育てる必要がある」という、第1回大会優勝の日本代表・王貞治監督の言葉には大賛成だ。

 野球は限定された国でしか行われていないから、本来五輪にはなじまない競技だろう。五輪野球を復活させるにしても、アテネ五輪からプロ野球に丸投げしたままの格好での日本代表はおかしい。シドニー五輪がプロ、アマ混合でメダル獲得に失敗して「金メダルを獲得するにはオールプロ野球しかない」とアマチュア球界首脳がプロ側に泣きついたからそうなったのだが、その弊害は歴然としている。社会人、大学生などアマチュア選手の最終目標がなくなってしまったのだ。社会人野球界の衰退も無縁ではない。

 悲願の金メダル獲得の世論の前に「五輪はアマチュアに返さないといけない」という正論はかすんでしまっているが、五輪はアマチュア、WBCはプロの戦いというのが、本来の筋だ。サッカーが五輪は若手の登竜門、W杯が超一流選手の戦いと色分けしているように、野球界もそうあるべきだろう。

投稿日: 2008年08月08日

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