TOPビジネス > 「言葉のタネ明かし」賞味―「ほめろ」と強制していることに

「言葉のタネ明かし」賞味―「ほめろ」と強制していることに

 暑い季節は食品が傷みやすい。それでなくとも、賞味期限の改竄(かいざん)が相次いでいる折だ。買ったらできるだけさっさと食べてしまうのがいいようである。

 ところで食品に表示されている「賞味期限」というのは、すっかり定着しているとはいえ、考えてみれば実におかしな表現である。「賞味」とは「食物をほめ味わうこと」(広辞苑)だから、食品会社はいわば、消費者が製品を「ほめ味わう」のを前提としていることになる。

 冗談じゃない。うまいとほめるか、まずいとけなすかの選択は、もっぱら消費者側にゆだねられており、メーカー側から「ほめろ」と強制される筋合いなんかまったくない。

 テレビのグルメ番組などでもよく、料理店の主人や女将(おかみ)が客に向かって、「私どもの自慢の一品を、どうぞご賞味ください」とか何とか言っている。いかにも丁寧な物言いだなと、つい思いがちだが、これも実際には先の「賞味期限」と同じ理屈で、「自慢の料理ですよ。おいしいとほめてください」と、客に強制していることになる。

 「どうぞお召し上がりください」と言えばよいものを、わざわざ「賞味」を使って「おいしいですよ」と言うあたりに、よけいに怪しいものを感じてしまう。これって頻発する「食品偽装事件」の影響?
 (産経新聞編集局校閲部長 清湖口敏)

その他の「言葉のタネ明かし」
夏バテ 国産肉 「酒が飲みたい」「酒を飲みたい」 「逆手」 「アラゲル」 「目」

投稿日: 2008年08月21日

トラックバックURL:

最新記事

夕刊フジBLOGから

コラボ企画

オススメサイト

夕刊フジBLOGモバイル

  • http://yfuji.jp/
    夕刊フジBLOGモバイル
  • 携帯も夕刊フジBLOGモバイル