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清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(20)環境・省エネに挑む(6)東京ガス「マイホーム発電」現実味
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| がすてなーに外観 |
「使用電気の多くを自宅で発電でき、電気代も抑えられるうえに、地球環境にやさしいのがいい」
「マスコミなどで話題に上ることの多い燃料電池を自宅で使えるのがうれしい」
低炭素社会に向けて、家庭からのCO2排出量削減の切り札とされる家庭用燃料電池の普及を積極的に図っている東京ガスリビング技術サポート部家庭用燃料電池プロジェクトグループの伊藤千春によると、「(経済産業省資源エネルギー庁の実証事業に際して家庭用燃料電池を導入した)一般家庭の反応は、自宅で発電するのがうれしいなどコスト的なこと以外で、より満足感を持たれているようです」という。
東京ガスは、大阪ガスや新日本石油などエネルギー事業者、松下電器、東芝、トヨタなどシステムメーカーとともに、2005年度から始まった経産省の家庭用(戸建住宅)燃料電池コージェネレーションシステムの大規模実証事業に参加してきた。最終年度である08年度については、東ガスのみで国から助成金を276件得ているが、すでに希望者が多くて申し込みを締め切ったほどであり、「とにかく反応はすごくいい」(東ガス関係者)ということになる。
とはいえ、ユーザー側に不満がないわけではない。むしろアンケート調査などを見ると、改良を加えてきたものの従来型機は完成度が必ずしも高いとは言えないこともあり、不満の方が多いようである。
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| 山本部長 |
過去、けっこう故障は多かったようだ。もっとも機器の信頼性は08年度に投入された新鋭機ではかなり改善されたというし、発電量の問題も、伊藤によると「家庭用燃料電池は熱が主で電気は従。タンクにお湯がいっぱいになると発電が止まる。それ以上に動かすと熱を捨てることになり、省エネにならず環境にむしろ悪い。それにこのシステムは学習機能があるので、うまく使うポイントは、一番熱を使う時間帯に作動するようにタイミングを合致させること。そうすると発電時間も長くなります」と語る。「それに発電時間を長くしたほうが、実は効率もいいんです」とも。
確かにうまく使えば、ユーザーの不満も相当程度解消、あるいは軽減されるということだろうが、発電量そのものに関してはそれも限度がある。つまり東京ガスがシステムメーカーと開発を進めてきた家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの最大出力は、環境負荷などを考慮した上で現状1キロワット程度(定格出力)に抑えられており、1家庭で必要とする電力量としては必ずしも多いとは言えない。リビング技術サポート部長の山本健司が語るように、「(環境負荷を高めずに)発電能力をさらに大きくするには、現状の最大発電効率37%をさらに上げていく以外にない」ということになる。
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| 中央監視室 |
従来、東京ガスは国の助成金に自社の商品開発費などを投入することで、実証事業に参加を希望した家庭と「FCパートナー契約」というのを結び、05年から07年度までは年間10万円で10年間、今年度は同じく年間10万円で4年間、「エネファーム」の機器を貸し付けてきた。この年10万円が高いか安いかはわからないが、ともかく05年度から08年度までに、全国で3307件、東ガスだけでは796件の参加者があったことは事実である。
加えて4年間の実証事業を経て家庭用燃料電池コージェネシステムがほぼ完成に近づいてきたこともあり、09年度から世界で始めて本格的に一般販売されることになった。東ガスも松下電器、荏原バラードとそれぞれ組みシステムを開発してきたが、管内一斉に販売を開始する予定で、目下、販売単価、条件などを検討しているところである。
前出の山本によれば、「東ガス管内の住宅着工件数は年間およそ20万軒。その3分の1から4分の1に、この家庭用燃料電池を設置していきたいと考えている」という。また300万戸近い既存住宅をもターゲットにする考えだ。そこで成果を上げれば「マイホーム発電」と言うことになり、ライバル東京電力も座視できない存在になることは間違いない。
=敬称略
(経済ジャーナリスト)
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燃料電池は、水の電気分解と逆の化学反応を利用したもので、水素と酸素を反応させて電気をつくり出す一方、反応熱をも有効利用する。地域冷暖房や大規模ビルでのシステム開発が先行した。
燃料は都市ガス、LPG(液化天然ガス)、灯油などで、これらを改質装置にかけて水素を取り出し、燃料電池中において空気中から取り込んだ酸素と反応させて直流電気を発生させる。電気はインバーターで交流電気に変換して家庭で用い、反応時に発生した熱はお湯として貯湯槽に貯えたのち利用される。
同一量の1次エネルギーの最終利用率を比較すると、従来の発・配電システムに比べ倍以上になり、同一電力・熱量を得るのに1次エネルギー消費量で31%減、CO2排出量45%減となる。省エネでかつクリーンなエネルギーと言われる所以である。ただし機器が高価であるなど残された問題は少なくない。
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