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『町工場的発想から脱却せよ』百瀬武文氏に聞く

 子会社に飛ばされた6人が起業して35年。年々ほぼ右肩上がりで成長を遂げ、いまや、東証二部上場、同一部銘柄指定企業にまでなった会社がある。躍進の秘密は「町工場的発想から脱却せよ」という精神と将来の夢を全社員に語り続けたこと。先ごろ、同名の著書(幻冬舎ルネッサンス)を著したワイエイシイ㈱代表取締役社長の百瀬武文氏に今にも通じる企業運営術を聞いた。

 ワイエイシイ㈱は昭和48年に東京都昭島市に設立、産業用機械業界に参入。その後、半導体、磁気ディスク、液晶ディスプレー各業界参入を経て米国など海外に進出。株式も上場した。現在、資本金27億5600万円、従業員180人という会社だが、創業時の社員はたったの6人。実は全員が通信放送機器メーカーから子会社に出向させられた仲間だった。起業のきっかけを百瀬氏が振り返る。

 「当時は使い物にならない人間を子会社に出す流れでしたから、なんで? という気持ちは共通です。しかも、1つの部ごと動かされたので、みんなすぐ会社をつくる話に乗ってくれた。技術屋集団だから、食べていく自信はありましたので」

 いざ起業してから、会社を維持する方が大変だったという。

 「起業した会社の97%が3年以内につぶれるというデータを知ってゾッとしました。そこで考えたポイントは“町工場的な発想はしない”ということ。つまり今日のメシが食えればいい。明日は何とかなるではダメだと」

 同時に社員に夢を与え、モチベーションを高める工夫した。

 「起業当初から第一次五カ年計画を立てました。会社の理念、方向づけ、“憲法”をつくった。計画を立てるにはみんなで議論して進めた。これは今も続けています。私自身節目には全社員を前に話をし、4事業部1管理本部の長には、『月に1度、部門の社員を集めてロマンを語れ』と言っている」

 以来、創立23年目に初めて赤字を計上するまでずっと右肩上がりできた。何度かの業績鈍化も、このやり方を守って乗り越えてきたという。

 「今であればアメリカ経済失速、円高・原油高で利益をどう確保するか、部門ごとに社員に徹底的に議論させます。前向きな姿勢が出ますよ」

 さらに百瀬氏が大事にしたことは、納税だ。そのためには会社が利益を上げなければならない。

 「企業の最大の社会貢献は納税だと思う。社会資本を使って経済活動をしているのだから、オカネを払うのは当然。でも、日本で数百万社ある会社で、利益を上げ納税しているのは約30%というデータもあるほど、あまり重視されていない」

 地に足がついた理念を掲げ、社員のやる気を引き出し、当たり前のことを大事にするのが、成長を維持する秘密ではないか。

投稿日: 2008年08月27日

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