この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
地デジ化まであと3年(下)―「コピー問題」が突きつける"誰が主役か"
デジタル放送の録画を10回までDVDなどにコピーできる「ダビング10(テン)」が先月からスタートした。従来のコピー「1回限り」という制限が「10回まで」に緩和されたのだ。
ただし、ディスクからディスクへの「孫コピー」はできず、CMカットなどの編集もできない。アナログ時代とはかなり自由度が低くなる。
一方で、はじめからノンスクランブルで録画できるビデオキャプチャ枠(いわゆる“グレーゾーン機”)が飛ぶように売れている現実がある。ダビング10がどこまで、そうした不明朗なコピーの流れに対抗できるかは未知数だ。
こうした現状からみても、3年後にダビング10を含むデジタルの録画システムが視聴者に浸透するかどうかは微妙だ。現状のダビング10でも「ハードディスク以外への録画は従来通りコピーワンス」「アナログ接続なら画質は落ちるが回数制限なし(孫コピーは不可)」「CATVは方式によって異なる」など、運用方法に違いがある。こうした細かい点を子供からお年寄りまでの視聴者が全員、正確に理解できるだろうか。
ひとつはっきりしているのは「ハイビジョン画質はコピー制限を受ける」ことだ。デジタル放送にコピー制限がかかっているのは、劣化しない高画質のデジタルデータで不正なコピーが蔓延することを防ぐ必要があるからだ。
そこで、「画質が落ちても中身が見られればいい」という層には、それなりの抜け道(=アナログ接続)が残されている。しかし、アナログ出力は将来、禁止の方向で進んでいる。そのとき、抜け道を失ったユーザーはどんな行動をとるだろうか?
もっと大きな問題は、日本独特の“録画文化”の衰退だ。テレビ番組を録画して見る習慣が薄い欧米に対し、日本は「VHS対ベータ戦争」が派手に市場を席巻したせいでビデオ機器が普及。テレビ録画が家庭での“文化”になった。
従来のテレビ録画は「手軽に録画・編集ができる」ことが最大の売りだった。ところが録画に多くの制限がかかるようになると、録画という習慣そのものが薄れ、コンテンツ視聴はネット配信などの方にシフトする可能性もある。電波が主役の時代が終わるかもしれないのだ。
コピー問題は、はからずも「コンテンツ供給の主役は誰か」を問い直すきっかけとなった。だが、それを利用するかどうかを決めるのは、あくまでもユーザーなのだ。
■地デジ化まであと3年(上)「都市の安定視聴」最初の試金石
■地デジ化まであと3年(中)ユーザーが安心できる機器保障の整備が課題
