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ジャーナリスト・篠田香子さん緊急リポート 戦火グルジア脱出から学ぶ危機対処法
北京で“平和の祭典”が行われる一方で、戦争が勃発したグルジア。「ユーラシアの楽園」ともいわれる地での突然の戦火だった。テロ、天災も含めて、ビジネスなどで海外を訪れる日本人にも決して他人事ではない。海外滞在中に有事に遭遇したら、どう動けばいいか。グルジアで戦火に遭った日本在住のジャーナリスト、篠田香子さんが緊急リポートを寄せた。
私は、8月6日からモスクワに住むイタリア人の夫と休暇でグルジアの首都トビリシに滞在していた。10日未明、トビリシ空港の近くが空爆され、脱出の空路が絶たれてしまった。鉄道で東隣国・アゼルバイジャンに入ろうと、グルジアと兼任するアゼルバイジャンの日本大使館に国境でのビザを頼んだが、返事は「難しい」。
戦火の激しい北と西、そして東もダメとなると南、アルメニアに越境するしかない。南へ行くタクシーと交渉していると、夫の携帯電話にイタリア大使館から「6時間以内にアルメニアへの脱出バス、ビザ、ローマへの救援機を手配する」という連絡が。私もその脱出バスに乗り、11日午前1時、国境を越えることができた。そして、アルメニアのエレバン空港から12日、モスクワに戻った。
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これが、今回の私の「脱出ドラマ」だが、その過程で学んだことも多い。
8日に各地で空爆がはじまり、約80キロ西で戦闘が激化しているにもかかわらず、トビリシでは、9日まで比較的平穏な日常が続いていた。だが、10日朝からテレビなどメディアに戦況が一切流れず、最新情報がわからなくなった。また、クレジット・カードとATMが使用不能に。
こうした事態では、できるだけ早めに対処を講じること。まずは、日本大使館に相談する。大使館がない場合は、管轄の大使館で残っている邦人の連絡先を聞くのもいい。単独ではなくなるべくグループで行動したい。
そして、情報収集。海外からの報道陣が集まる一流国際ホテルのバーに行けば彼らから最新の状況を聞くことができる。コンシェルジュも各種状況は耳にしているはず。トビリシ・マリオットではインターネットが使え、CNNも観られた。身軽に動けるように、ここに荷物を預け、先に備えて食事をとった。スタッフの笑顔のサービスはつかの間でも気力を回復させてくれた。
情報収集と各種手配に携帯電話は欠かせない。日本の携帯電話は現地電話として応用できない。日本と韓国以外のすべての国で世界仕様の携帯電話が使われており、1万円以内でも購入できる。有事の行動には現金がものをいう。「世界のローカル銀行」として、世界展開の香港上海銀行はトビリシやアルメニアでも現金を引き出せた。24時間の顧客ホットラインもアドバイスをくれる。
脱出後のフライトも手配のし直しとなる。ここでも早めの対処が必要。多くの航空会社にある24時間の予約ラインも活用したい。私はエアロフロートだったが、サービス面は不評でも、有事の対処に慣れていた。
やはり有事のときに頼りになるのは、残念ながら日本のものではなく国際水準の海外もの。それも平時から顧客になっておく必要性を痛感した。
世界は狭くなり、便利になったが、随所で人災と天災が勃発している。日本の大使館や保険もあくまで危機対処の一つにすぎない。結局は日頃から自分で有事に備えておくしかない。アルメニアの空港で見た、朝日に輝くアララト山が創世記の大洪水で救った“ノアの箱舟”のように―。
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グルジア
コーカサス山麓に位置。北海道より小さいが、西を黒海に接する変化に富んだ自然と、世界遺産や長い通商の歴史がもたらす文化の宝庫。トビリシはマルコ・ポーロも絶賛した風情あふれる古都で、ワインとグルメの地でもあることから、欧米人に「楽園」として人気がある。
