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「ブラックジャックを探せ」精神疾患患者と家族支え30年
■ブラックジャックを探せ!
ほづみクリニック(東京都豊島区)院長
穂積登さん(74)
精神疾患を考えるとき、患者本人の苦痛もさることながら、家族のケアを抜きにして治療を進めていくことは不可能だ。穂積登医師は、人里離れた郊外ではなく、都内の繁華街で30年以上にわたって精神科クリニックを運営し、多くの患者とその家族を見てきた。
東大教育学部で心理学を学び、慶大医学部に再入学。東大時代の恩師の勧めもあって、精神科を専攻する。
山梨大学医学部の助教授時代、折しも精神病院の入院患者解放が叫ばれる医局闘争の真っただ中。治療中の多くの患者が退院するのを見て、在宅における精神疾患患者の受け入れ施設の必要性を感じて開業に踏み切る。大塚で6年
、その後池袋に場所を移して三十数年、患者の治療と家族のケアにあたってきた。
そんな穂積医師が一貫して訴えるのが、「アーリー・インターベンション(医療の早期介入)」の重要性だ。
「精神疾患の多くは、早い段階で適切な医療を受ければ悪化を防げる。同時に、早期の家族教育により、家庭での適切な対応が可能になるし、患者の社会復帰も早くなる」
一方で、後輩の若い精神科医には苦言を呈する。
「精神科医の本分は、患者とともにいて、患者から学ぶこと。教科書を読んでいる時間があるなら患者と一緒にいるべきですよ」
穂積医師がその理念を実感できるようになったきっかけの1つに、趣味の“将棋”があった。
「入院患者で、ものすごく将棋の強い男がいたんです。どう頑張っても歯が立たない。そもそも精神疾患の患者には、ある分野に突出した才能を持っている人が少なくない。そんな患者たちと接しているうちに、次第に彼らを尊敬できるようになりました」
たばこをくわえながら冗談交じりで語る口調が、聞く者に深い安心感を与える。歴史と実績が生み出すそのやすらぎを求めて、今日も多くの患者と家族が、穂積医師の元を訪れる。
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ほづみ・のぼる
1934年東京都生まれ。63年慶応義塾大学医学部卒業、同大精神科助手。70年山梨大学保健管理センター助教授。75年ほづみクリニックを開設し院長。現在NPO法人メンタルケア協議会理事長の他、駒澤大学学校医、都内複数の保健所嘱託医などを兼務。趣味は囲碁、将棋、競馬。
