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『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』 門田隆将著
山口県光市の母子殺人事件の遺族・本村洋さんと彼を支え続けた人々の10年近い闘いの日々を綴ったノンフィクション。メディアであまり語られなかった詳細なサイドストーリーを綿密な取材で掘り起こし、事件の深層に迫っている。
検察・警察の捜査当局の事件への執念がこれほどすさまじいとは知らなかった。1審の山口地裁で「無期」判決が出た後、担当の若い検事は目を真っ赤にして本村さんに、「たとえ上司が反対しても私は控訴する。司法を変えるためにともに闘おう」と告げる。捜査当局はその後、被告の元少年が仲間に出した手紙を探し出す。反省のカケラもないその文面が、裁判に与えた影響は極めて大きかった。
差し戻し審で「死刑」判決が下された後、著者は被告に面会する。そこには公判で見せた幼稚で傲慢さはどこにもなく、憑き物が落ちたような被告の姿があった…。発売後1カ月で3万7000部に達し、ノンフィクションでは異例の売れ行きだという。 (新潮社・1365円)
