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「ときめきの富士」〈蒼き山嶺〉9月下旬 丸山林道より
雲海は陽が昇るにつれ、薄いもやとなり霞となって徐々に引いていった。蒼から白へ、白から蒼へのグラデーション、濃淡のある前景の山。シンプルな光景だが存在感が有る。何かに似ている。そうだ、蒼い墨絵の世界だ。見ていて心が落ち着くのはそのせいか。
夜明け前から立ちっぱなしで、太陽の動きと共に変ってゆく富士山の表情を見ていると、こんなシーンになった時に初めて何時間も過ぎていた事に気付く。いつもはこの辺りで切り上げて少し仮眠した後、昼までに東京に戻る。
しかし良いシーンに出会った朝は心地良く、空振りだった朝はもう一日山にいようか、東京に戻ろうかと問いかける。雲の変化が多い時は夕方までゆっくりと過ごしたり……………。楽しく長い1日が過ぎてゆくのである。
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文 ロッキー田中
