この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
川島隆太東北大教授が改めてオススメ 脳を働かせ幸福感を
9月はビジネスマンも頭を切り替える節目だ。そこで、本日は本紙週末特別版連載「決定版 脳を鍛える10分間ドリル」でおなじみ、脳研究の第一人者、川島隆太・東北大学教授に、ご登場いただいた。脳ブームのなか、今改めて行っているという脳ドリルへのチャレンジによる「日々、脳が生き生きと働いているという実感のススメ」を聞いた。
★結局は自己鍛錬
1日数分間のやさしい読み・書き・計算―これが、脳研究の成果をもとに川島教授が発案した「脳ドリル」。1週間に5日以上、最低3カ月間続けると、脳の健康維持や、初期であれば認知症の回復効果が表れるというもので、現在、日本だけでなく欧米にもドリル人気は広まっている。
「脳のトレーニングも体の筋トレと同じ。回数が少なければ効果は期待薄です。僕らの研究は脳=心、つまり自分自身、主体そのものという仮定のもと、それを証明しようとしています。ですから、『脳を鍛える』と簡単に言うけれど、実は『自己鍛錬』という“哲学的”な意味を持っている。脳と体は運転手と車の関係。運転手がいないとどんな立派なスポーツカーだって動きません」
川島さんによると、人間の脳の中には銀河系の星の数と同じ、約2000億個の神経細胞が存在する。脳の中の銀河―壮大な話だ。「それは偶然か必然か、なんて話から授業を始めるんですよ」
ともあれ、脳ドリルによって脳を使い続ければ、それらおびただしい数の神経細胞が生き生きと働き、脳の健康を維持することができるのだという。
★スラスラ解ける喜び
脳ドリルの特徴のひとつは、スラスラ解ける問題が出題されるということ。
「問題が簡単に解けたという自信と快感と充足感で脳の中の思考や判断力をつかさどる前頭前野が活性化し、また次の問題を解こうとやる気になる。前頭前野というメーンコンピューターの力を上げることで、脳の中のターミナルコンピューターの機能も上げようというわけです。脳はさまざまなコンピューターの集合体ですからね」
この“脳が喜ぶ問題解き”が、脳ブームを大きく後押しすることになった。
「ブームの火付け人は解剖学者の養老孟司さん。僕らは養老さんが脳研究の地ならしをされたあとを継いで、そこに種をまきました。今、さまざまなスタイルの脳ドリルが百花繚乱(りょうらん)ですが、まさに玉石混交。しかしこの2、3年で“雑悪”なものは淘汰されるでしょう」
★スマート・エイジング
脳ドリルの目的は、「スマート・エイジングの実現」だと川島さんは言う。「健康加齢」と訳するが、年齢相応の脳の健康維持が目的で、老化と同義の「加齢・アンチエイジング」とは一線を画している。
「年を重ねることは、老化ではなく、『発達』なのです。そして脳はその発達過程に応じた働かせ方をすれば、脳の健康とそれに伴う幸福感をもたらすと思います。しかし幸福になるにはある程度の努力も必要、そういう意味で脳ドリルを解いてもらうのです」
“ドリル効果”。最初に発見するのは本人より家族らしい。「前より外交的になった」「明るくなった」などの感想が家族から聞こえてきたら、効果ありと思っていいようだ。
