TOPユメの行方

2008年05月04日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第31回

<1977.03.25 シャングリラレコード本社>
yume20080504.jpg トキオの願いはついに叶った。この数カ月、企画書書きから始まってテープオーディション、アーティスト面接、レコード会社巡り、そしてとうとうviva nonレーベルの発足にまでこぎつけた。
 秋山圭一プロデューサーの指導のもと、トキオは新米レコード制作者の道に踏み込めたわけだ。5社ほどのレコード会社を企画書を手にまわり、最終的には業界で売上No.1を誇っていたシャングリラレコードが手を挙げてくれて契約の運びとなった。

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2008年04月27日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第30回

<1976.10.11 新宿viva non 天才トマトそしてレーベルオーディション スタート>
yume20080427.jpg ステージでは、山中浩輔のリリカルなピアノ演奏が厳かにスタートしている。舞台前では20人あまりの酔客が息をのんで今か今かとトマトの登場を待っている。
 山中のピアノは徐々に狂気をともない始める。と突然ステージ脇の控え室からトマトがゆっくりと登場してきた。客席から割れんばかりの喝采が送られる。

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2008年04月20日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第29回

<1976.10.10 新宿viva non レーベル計画そしてトマト乱入>
yume20080420.jpg 「じつはさあレーベル作りに入ろうと思ってるんだ」
 秋さんの甘い囁きにトキオは一も二もなく乗っかった。
 「もう龍さんには言っておいたんだけどさあ、viva nonも、もう4店舗になったわけだけだから立派な媒体だし、ここを背景にして、ゴロゴロいる才能あるアーティスト予備軍たちをどんどん発掘して、既成のレコード会社じゃできないようなキャラクターの立ったレーベルらしいレーベル、たとえば『アサイラム』や『ベアーズビル』のようなレーベルシステムを構築しようと思うんだ。もちろん、中核になるのはトキオ、君だぜ」

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2008年04月13日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第28回

<1976. 10.10 新宿viva non セレモニーを終えて>
yume20080413.jpg 新宿viva nonオープニングセレモニーの全てのプログラムを終了させて、トキオは放心状態でカウンターの奥にある長椅子にからだをゆっくり沈め、しばらく黙ってこの10日間のことを考えてみた。
 日によってバラツキはあったものの、ほぼ満員が続き、大盛況のうちに先ほどフィナーレを迎えたわけだが、なぜかトキオの胸の内には満たされない何かがあった。

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2008年04月06日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第27回

<1976.10.01 新宿十二社 小紫会 総本部>
yume20080406.jpg viva nonを出て新宿中央公園を抜けると十二社温泉がある。そのすぐ隣りに建つ、誰の趣味だかわからないがガウディを真似しそこなったインチキなベルサイユ宮殿のような8階建てのビルが、東京の暴力団と呼ばれる組織の中で三本の指に数えられる「小紫会」の総本部である。

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2008年03月30日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第26回

<1976.10.01 新宿viva non オープン当日 2>
yume20080330.jpg サウンドチェックを終え、真新しいペンキの匂いも漂う中、viva nonの全スタッフは龍さんはじめ、皆ある意味到達感に浸っていた。
 もともとのviva nonの伝統に則って、今回の新宿店も外装、内装、インテリア、厨房、音響、PAにいたるまで、ほとんどが viva nonスタッフの手によるものである。トキオもブッキング作業の合間を縫ってペンキ塗りに従事していた。関係者が苦労の末、手作りでオープンにこぎつけたわけだから、喜びもひとしおだ。

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2008年03月23日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第2章―第25回

<1976.10.01 新宿viva non オープン当日>
yume20080323.jpg ついに完成した新宿viva nonのオープニングライブはとてつもない規模で催されることになった。
 この1カ月の間というもの、トキオはそれこそ不眠不休でミュージシャンブッキングにその情熱を傾けた。もちろんトキオだけではなくオーナーの龍さん、秋さんこと秋山圭一の多大なサポートがあったからこそ、この超弩級のラインアップが実現したのだが。

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2008年03月16日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第1章―第24回

<1972.03.16 回想8―東中野>
yume20080316.jpg ルミとの朝6時の待ち合わせには少しばかり早かったが、両親に置き手紙をしたため、さすがに駆け落ちとは書けなかったものの、しばらく友人と旅行してくるという名目で、4時すぎにトキオは自宅を後にした。

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2008年03月09日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第1章―第23回

<1972. 03.15 回想7―高田馬場『ルイーズ』>
yume20080309.jpg ルミからの突然の真夜中の呼び出しはこの数カ月、日常茶飯事になっていた。何の予告もなく2時とか3時にかかってくる電話は、付き合い始めのころはトキオにとって心ときめくものがあったのだが、このところやや食傷気味だった。
 なんといっても、まだ高校生の身分ではそうそう親の目を盗んで夜中に抜け出しルミの破天荒ともいえる行動に足並みそろえるにはまだ根性が備わっていないというか、男としての器量が足りていなかった。

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2008年03月02日

桜井鉄太郎「ユメの行方」第1章―第22回

<1971.10.26 回想6~ゴールデン街『チープスリル』>
yume20080302.jpg 「坊やなかなかやるじゃないか!」ステージを降りるとメンバーたちから口々にほめられ、トキオはある種晴れがましさを覚えていた。ルミは緊張して神経をピリピリさせていたトキオの肩をやさしく抱き寄せ、「やったじゃん、あたしの勘が当たったわ」と誰にも聞こえないくらいの声でささやく。

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