2007年10月07日
新連載小説、桜井鉄太郎「ユメの行方」序章―第2回
<1974 09.19 荻窪 Live House : viva non >
トキオは額に浮いた汗をぬぐいながら、慣れた手つきでリズミカルにアナログレコードをチェックしていく。CREAMの次に何をターンテーブルにセットするかで自分の音楽センスが問われるような気がして必死になって曲を選んでると、突然グランドピアノの置いてあるフロアのスポットライトが点滅し、店内に光の帯が走った。
反り返って顔を背けながら無人のはずの店内に視線をめぐらしたトキオは、カウンターの隅で不機嫌そうにミルクの入ったグラスを弄んでるリオナの姿を捉えた。無言で彼女に近づくと、愛くるしい皺を眉間によせてためらいのこもった眼差しを返してきた。
投稿日: 2007年10月07日 | 固定リンク | トラックバック (0)
2007年09月30日
新連載小説、桜井鉄太郎「ユメの行方」序章―第1回
<1974 09.19 荻窪 Live House : viva non >
天井から頬に滴り落ちる水滴によって、深い眠りから幾田トキオは目覚めた。
解放感とは対極にある、重たい痺れが渦巻くような頭痛が昨夜の記憶を呼び戻す。かじかんで感覚を失った指先を揉みしだきながら暗闇の先に目を凝らし非常灯のかすかな光をたよりにトイレまで辿り着くと、鏡に映る充血し虚脱した瞳が自分らしくない凶暴な匂いを発している。
投稿日: 2007年09月30日 | 固定リンク | トラックバック (0)


